今回はI様邸の基礎工事の流れをご紹介します。
「基礎」とは、建物と地盤の繋ぎ目となるコンクリート部分のことを指し、建物を支える重要な役目があります。基礎工事の方法は数種類あり、地盤の状態や建物の性質から判断し、適切な方法で工事をします。今回のI様邸ではベタ基礎(※1)で基礎工事を行いました。
※1 ベタ基礎とは、立上り部分と床全体に、鉄筋を入れたコンクリートを打って基礎を作る工事方法。地盤と接している面が広いため、荷重が分散され、安定性が高い
遣り方(やりかた)・根切り
「遣り方(やりかた)」は、建物の周りに木杭や木の板を打って、基礎の天端高さや柱の中心を示す工程です。レーザーレベル(※2)などで基準となる水平を出していきます。
「根切り」は、基礎を作るために、パワーショベルなどの重機を使って基礎の底面の高さまで土を掘り出す工程です。この際に出た土は搬出するのですが、I様邸は多少高低差がある敷地であったため、トラック14台分と多めの運び出しとなりました。
※2 レーザーレベルとは、水平器に赤外線レーザーポイントを内蔵し、離れた場所の水平出しが可能な機械
砕石敷き・防湿シート敷/捨てコンクリート
「砕石敷き」は、地盤の支持力を増大させるために、砕石(細かく砕いた石)を全体に敷き、ランマー(※3)で地盤を締め固める工程です。
「防湿シート敷」は、地面からの湿気が基礎内へ侵入するのを防ぐための工程です。すき間ができないように気をつけながら全体に敷いていき、その後、外周部に捨てコンクリートを打設します。捨てコンクリートには、基礎配筋の墨出しや、防湿シートの固定と密封などの役目があります。
※3 ランマーとは、反力で機械本体をはね上げるとともに落下時の衝撃力で締固めを行う転圧機械
基礎配筋・型枠組み(外周)
「基礎配筋」は、基礎コンクリートの引張強度を担う鉄筋を組む工程です。結束線(細い針金)を用いて、機械や手作業で鉄筋を組み立てます。今回は構造計算をしているので、それに則った配筋を組んでいます。
鉄筋の下に見える四角い石は「ピンコロ石」と言います。鉄筋が自重等で下がり、適切なかぶり厚(※4)をとれない可能性があるので、ピンコロ石を入れて施工します。
「型枠組み(外周)」は、基礎外部に床ベースのコンクリートが流れ出ないように、基礎の外周に型枠を組んでいく工程です。
この段階で配筋検査をし、問題なく合格すると次の工程へ進めます。
※4 かぶり厚とは、鉄筋表面とコンクリートの表面までの最短距離
生コンクリート打設(床ベース)・型枠組み(内部基礎立上り)
「生コンクリート打設(床ベース)」は、基礎のベース(床)部分に生コンクリートを流し込み、平らに均す工程です。生コンクリートは気温によっても強度が変わる為、夏場や冬場で配合を調整しています。
コンクリートを流し込む前に大切な工程があります。地鎮祭の時に神主さんからお預かりした鎮め物(しずめもの)を、基礎下になるところへ配置し埋めます。鎮め物には、工事の安全や住む人の繁栄を祈る意味が込められています。
「型枠組み(内部)」は、基礎内部の立ち上がり部分の型枠を組む工程です。ホールダウン(※5)とアンカーボルト(※6)も位置をよく確認しながら設置していきます。
※5 ホールダウンとは、柱が土台や梁から抜けるのを防ぐために取り付ける金物
※6 アンカーボルトとは、土台と基礎を繋げるために取り付ける金物
生コンクリート打設(内部基礎立上り)・養生
「生コンクリート打設(内部基礎立上り)」は、基礎の立上り部分に生コンクリートを流し込み、バイブレーター(※7)で隙間なく行き渡らせる工程です。型枠の中に見える黄色の部材は「レベルポインター」と言い、コンクリートを打設する際の高さの目印として設置されます。その後、レベラーと呼ばれる専用のモルタルを流し込んで、基礎の天端を平らに仕上げます。
コンクリートの打設が終わったら「養生」をします。正しく養生し、基礎コンクリートの強度が安定するまで一定期間休ませます。コンクリートの強度発生までの期間は温度に大きく影響されるので、夏季は3日以上、冬季は5日以上の養生が必要です。
今回は、I様邸の基礎工事の流れをご紹介しました。型枠バラシ後の完成した基礎は、次の【施工日記】でお伝えします。
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